■ 小説家になろう?

病気した、というほどのことではないのですが、40代に、ひどい貧血にみまわれまして、2つの病院で検査入院したことがあります。

みつかったのは、会社の健康診断。診断結果が郵送されるに先立って、健康センターから電話がかかってきたのです。

「ヘモグロビン数値が異常に低くなってます。どこでもいいので直ちに再検査してください。」

連絡をうけたわたしは、めんどくさいなぁ、と思ったのですが、「仕事はいいから行け」という社長厳命です。思い当たるところがあったので再検査に応じました。通勤途中にあるうち、一番大きな総合病院へ向かったのです。そして血液検査をうけたところ。

「成人男性の3分の一ほどです。帰すのは危険なので、このまま入院していただきます」

冗談ですよね???

「本気です。だいたい、検査用のわずかな採血でさえ、あなた、ふらつきましたよね? 大きな病気をわずらっている可能性が高いです。原因をつきとめて治療しないと命の保証はできません」

入院と検査

ここの総合病院で受けた検査は、レントゲン、胃カメラ、大腸検査、MRI。ほかに血液検査に尿検査ででしょうか。心電図もとったかもしれません。ですが、なにも見つかりませんでした。

見つかりませんでしたが、わたしは元気になりました。
入院初日、輸血をうけたからです。
たくさんの誓約書(肝炎にかかっても何かの菌に感染したとしても登院のせいではありませんよ。あなたがOKって言ったから輸血したんですからね!)にサインをして、2パック。4時間あまりだったか、吸血鬼気分を味わいました。

ヘモグロビン(Hb)は、血液をかけめぐって細胞に酸素を送り届ける赤血球の中のタンパク質。男性で14~18g/dl、女性でも12~16g/dlが正常値です。これが、わたし、健康診断時で10ちょっと、病院の検査時には、7をきってました。3分の一は大げさですが、人の機能を維持するにはまったく足りていない状態だったようです。

この貧血、というか、ヘモグロビン不足には覚えがありました。

数ヶ月まえから、体調が思わしくなかったのです。歩けばすぐに息切れ、走るなんてとんでもなく、階段を上るときにも足が重くなって、途中で休まないと、動けなくなることが多かったのです。

最初の病院では、原因が突き止められず、べつの検査のできる病院を紹介してもらってそちらに移りました。
新しい病院では、最初のものと同じ検査が続きます。データを融通すればいいと感じましたが、検査機や医師が違えば違った答えが導き出される可能性がなきにしもあらず……導きだされませんでした。

不安です。どんな病気になってしまったのか。
世界のどんな医者でもみつけられない、正体不明の重い病気にかかってしまったのかもしれない。

「正体不明ですか? わっはっは。そんなことはありません」

え?

「腫瘍が原因で同様の数値になることもあるんですが、そういった兆候はありません」

じゃなぜ?

「便の中に鉄分が多いのがみつかってます。そういうケースでは、胃腸からの出血という場合が多いんです。ですが胃壁に傷はみつかりませんし、そこが不思議ですねぇ。はっはっは」

笑いごとじゃねー!!

「カプセルカメラ飲みましょうか。なにかみつかるかもしれませんよ。もともと、そのための転院ですし」

最初から、それだけをやれよ!

そういうことがあって、カプセルカメラを飲みました。
大腸検査や胃カメラと同じく、食事は抜いて胃腸の中をすっからかんにします。量の少ない入院食に加えて何度目かの絶食にもすっかり慣れました。食べ過ぎで膨張気味だった胃腸も、このとろには正常に縮小していたはずです。

ウンチと一緒にでてきた、カメラ回収劇には涙がでたものです。
便器の底に落ちた(と思われる)直径2センチほどのカプセルを掬い探す作業。二度と体験したくないリストに加わておきます。結果としては、カプセルカメラでも原因はつかめませんでした。

それでも、とりあえず元気になったということで、鉄剤の薬と、3ヶ月ごとの定期診断を条件に退院できました。あれから、10年以上。死ぬこともなくこうしてぴんぴんしてますが、ヘモグロビン騒動は私の生活に思わぬ影を落としたのです。

物忘れがはげしくなった

成人基準値の半分以下の状態が、おそらく3ヶ月以上続いた生活。健康状態はまぁ、それなり戻りましたが、ちょっとした記憶障害が発生しました。

物覚えが悪くなったのです。

もともと、人より頭が良いというわけではありません。むしろ弱いほうに自信があったくらいです。ですが、かつてはプログラマーをやっていた、コンピュータ言語を駆使して組めるくらいには、新しいことの吸収はよかったようです。エクセル関数もBVも、HTMLやCSS、こうした言語(?)は誰に習うことなく、独学で身につけ、手書きでホームページを作成しています。すくなくとも短期記憶は人並み程度によかったのです。

ところが。

思えていたはずの、簡単なタグがでてこなくなります。
サイト作成も、本を横においていちいちページを開いたり、ネット検索するありさまです。5時間あれば、サイトの基本部分を作れていたのが、1週間でも不可能に。ひとつページを一から構築できていたのができなくなって、作ったものをコピーで使いまわすしかなくなりました。

想像するしかないのですが、きっと脳細胞が死んだのです。脳細胞は25歳くらいをピークに減少するといますが、一定期間、酸素供給が減少したことで、わたしの多くの細胞の減少に拍車がかかった。年齢的なものもあるでしょうが、そういうことなのでしょう。

いまは、だいぶ落ち着いてきてます。メモ代わりにスマホを使ったり、あらゆる方法で、物覚えの悪さを補うよう考えて行動してます。

小説家になろう!

備忘録というか、脳トレの一環としてはじめたのが、小説です。
忘れてしまうのなら、忘れにくいように、何かに残しておこう。そのトレーニングとして、新しいことを。これまでやったことのない「小説」というものを書いてみよう。

素人投稿から作家になれるのが、ネット社会のいいところ。
かの「川原礫」さんがウェブ上に公開した小説「ソードアートオンライン」は、いまや世界中に知られるビッグタイトルです。そこまでは恐れ多くて望んでませんが、小説を投稿てきるサイトはないかと探しました。
それが「小説家になろう」です。

へぇ。素人の投稿サイトか。
どれどれ…………ん?
んん? なんだこれ、面白いじゃないか!
すでに、書籍化されてる?
コミカライズも? アニメ化も?
なんだこのサイトは!!

頭のトレーニングと物を作る楽しさ兼ねて、わたしも小説を書くことにしました。

「なろう」は一日にしてならず

ランキングトップの文章を読んで感じたのは「たいしたことない。これならすぐにトップになれるぜ」でした。

それがいざ自分で書いてみると簡単にいかない。
すぐ、難しさに気がつかされます。
すぐにでも投稿できると信じていたのですが、書き溜めて、書き直して、なかなか前に進みません。

しかも「小説家になろう」は数万人がひしめく人気激戦サイト。レベルが高い。すごく高かった。
素人小説をあなどるなかれです。書籍化にいたってないものの、作家の卵がわんさか集まってる、そんなサイトです。

思ったことを的確に文章にまとめるのは大変な能力がいります。
意味不明なメールを受け取ったことは、誰にでもあるでしょう。
言いたいことがあれもこれもあって、理路整然と要点をまとめるのは、けっこう骨が折れるものです。
実務的な、400文字以内の文章でもたいへんなのに、小説の文字数はそれどころじゃない。
キャラクター、時代設定、描写背景、ストーリー。
どんなに短い短編でも、おそらく10000文字はあるでしょう。

短ければ楽かといえばそうではありません。極限まで言葉を切り取った俳句や川柳がいい例です。文章を削りに削ったショートショートというのは、センスが問われます。ある意味では普通の一冊分、100000万文字を書くよりも難しいかもしれません。

わたしの場合は、物覚えの悪さというおまけがついてました。
自分で決めたキャラの名前すらすぐに忘れ、設定もあいまいになりがちです。
いちいち、バックストーリーを見直しながら、書いていくので、進まないことこの上ありません。

見切り発車で投稿を始めたはいいのですが、連載は長期。初期設定の甘さからさっそくストーリーがぶれだしました。さらに素人の悲しさや文章スタイルも不安定で、その時々によって、タイトになったりスカスカになったり、無駄に濃厚になったりです。

初めての投稿するまでは、1年もの月日がかかりました。そこから連載終了まで一年。あわせて2年かけてどうにか、投稿を完了させたときは、ほっと胸をなでおろしたものです。
終わったときのボリュームは、149話で499,952文字。紙の小説なら4冊分に匹敵する分量になってます。当初50話で終わらせるつもりが、暴走に暴走を重ねた結果、こうなったわけですね。

異世界のイージス~少女の中でコックピット生活~

文章を考えるという、最高の脳トレ

アニメになった小説「ソードアートオンライン」に憧れて書きはじめた部分があります。
わたしの作品は文芸ものとは程遠い、異世界活劇です。主人公を10代と20代の女性に設定していて、いい大人の鑑賞には耐えられないものでしょう。読み返すと誤字脱字が多く反省点だらけ。実際アクセスもたいしてありませんでした。

ですが、書いた甲斐だけはあります。

最初は、キャラの言葉を言わせるのですら、恥ずかしい思いがありました。
いい年したおっさんが、10代の女の子のせりふを考えるのです。
そりゃ、心の葛藤の高いこと。精神が抵抗しまくりです。

ある程度、話数ができて、いざ投稿の段階でも躊躇はとまりません。

わたしが小説なんか書いていいのだろうか。
いい年したわたしの作品なんて、誰も読んでくれないんじゃないか。
不安ばかり先立って、投稿きでません。

それでもどうにか意を決して投稿。

おもいがけずアクセスカウントが、少しですがあったのです。
しかも、いきなりブックマーク登録が5件も。

ブックマークの登録は「今後もこの作品を読むからね」ということ。読者ができた証です。
うれしかったですね。とってもうれしかった。何度もやめようかと思ってましたから。
一円にもならない素人作品。感動や苦労を共有してくれる仲間もいません。こんなの書いても意味がない時間の無駄だなんて、毎週のように思ってましたから。

報われた瞬間は、やってってよかったと心から喜びました。
このうれしさに引きづられるように、書き続けたのです。
自分なりにいい物を書く。下手でも書いて、とにかく作品を完成させる。
そうやって、完了を迎えたのです。

肝心の脳トレですが、すこし、物覚えが回復してきてます。
一話あたり、およそ3000から4000文字ベースで投稿してますが、少なくとも、一話の中での迷走はなくなった──と思ってる──ようです。

小説を書いてみませんか

小説は個人の娯楽。
パソコン一台、ネット環境があれば、誰でも作家になれます。
だから、お金はかかりません。
多少の出費があるとすれば読む本にお金がかくるくらい。やはりインプットがないとアウトプットはできませんから。でもそれだって、ネット小説ですますつもりがあれば、無料で済ませます。

Re:ゼロから始める異世界生活 1

↓累計トップレベルの小説↓
小説ランキング[累計] – 小説家になろう

テキスト投稿ですから、文字が上手い必要はありません。
下手でもいいんです。何度でも何度でも、書き直せます。

現在連載中がこれ↓
「碧」14歳。さきほど65歳の老婆に転生しました!

異世界転生ものが人気の中心ですが、SFでも、現代物でも、設定はなんでもいいんです。
あなたが書いた作品の評判が高まれば、人気の流れを、潮流を変えてしまうことだってありうるのです。

小説は、最高の脳トレであると、思ってます。
そして、たいていの人はわたしより上手な文章がかけると信じてます。

ひとつ、あなたも書いてみませんか?